風邪症状に関連する疾患
- 鼻腔咽頭喉頭炎(上気道炎)
- 扁桃炎
- 副鼻腔炎
- 気管支炎
- 肺炎
風邪(感冒)症状とは?
いわゆる「風邪」の症状といえば、「発熱」「喉の痛み」「鼻水」「咳」が挙げられるかと思います。
このような風邪症状のほとんどはウイルスが原因です。というのは、ウイルスは短期間で広範囲の臓器で増殖することが可能ですが、細菌感染の場合は通常短期間の間に増殖するのは限られた臓器においてのみです。(血液中に菌が流れるようになると一気に拡大することもあります。)よって、症状の特徴によっても、ウイルス感染っぽいか、細菌感染っぽいか、判断することが可能な場合も多いのです。
ウイルス感染について
ウイルス感染は、基本は症状に対する対処療法の治療がメインとなります。抗生剤は、細菌に対する治療薬です。ウイルスに対しては抗生剤を投与することは効果がない上に常在菌の死滅や耐性菌繁殖の原因になる可能性があります。軽い症状で終わる場合はほとんどウイルス感染ですが、症状が強く出やすい方や長引きやすい方は、薬を使った方が症状が緩和されます。また、漢方薬などは初期に使用すると自己免疫力を高めて、症状を悪化せずに風邪を終わらせることも有効です。
しかし、他のウイルスよりも死亡率が高いインフルエンザや新型コロナなど一部治療薬が適応になる場合もありますし、伝染性単核球症といった少し特殊な経過を辿るウイルスもありますので、発熱して症状が重い場合には、これらのウイルスを鑑別しておくことが重要です。
他にも乳幼児や高齢者で肺炎に移行しやすいR Sウイルス/ヒトメタニューモウイルスなど、治療薬はないものの注意が必要なウイルスもあります。そして、経過によっては、ウイルス感染から細菌感染が続発したりすることもありますので、経過が長引く場合には注意が必要です。
細菌感染について
細菌感染は、抗生剤を使用しないとなかなか改善しない場合もありますので、細菌感染が関与することが多い、扁桃炎や副鼻腔炎、肺炎などには、最初から抗生剤を投与することがあります。
扁桃炎の中でも溶連菌による扁桃炎は、症状が重くなりやすい、また繰り返しやすい、重症化すると腎臓などにも影響が出るという特徴があり、治療も通常よりも高用量で抗生剤を投与する必要がある場合もありますので、繰り返す場合には溶連菌を鑑別することをおすすめします。
また、肺炎は長引くことで命に関わる可能性があり、軽症であれば内服の抗生剤で対応することも可能ですが、重症化したり内服の抗生剤に耐性があるような場合には、点滴での抗生剤が必要な場合もあります。発熱と強い咳/痰が続く場合には、肺炎を念頭に鑑別する必要があります。
ウイルス感染や細菌感染以外の風邪症状について
発熱以外に目立った症状がなく、治療を行なってもなかなか解熱しない場合には、特殊な感染症や膠原病、自己免疫性疾患、悪性腫瘍など多岐に渡って鑑別する必要があります。
これらの症状でも発熱がない状態で長く続く鼻炎や気管支炎の場合(特にサラサラの鼻水、長引く空咳)には、アレルギーによる症状である可能性を常に検討する必要があります。