慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・ピロリ菌感染

慢性胃炎とは

以前は上腹部の異常に対しては慢性胃炎という病名が頻繁に用いられていました。具体的には、吐き気、嘔吐、胸やけ、みぞおちの痛み、みぞおちの不快感などの症状があります。
しかし近年では症状の有無を問わず、内視鏡検査で確認される萎縮性胃炎や肥厚性胃炎、腸上皮化生のことを慢性胃炎と呼んでいます。

慢性胃炎の原因

慢性胃炎の原因は大きく分けて2つあり、ピロリ菌感染(B型胃炎)と自己免疫機序(A型胃炎)です。「萎縮性胃炎」は、ピロリ菌が原因の慢性胃炎が長期化することで、胃の粘膜が委縮してしまうことで発症します。
萎縮性胃炎が進むと、胃の粘膜が腸の粘膜のようになる「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」へと進展し、その一部ががん化して最終的に胃がんに至るとされています。

ピロリ菌について
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慢性胃炎の症状

慢性胃炎は必ず何らかの症状が出るとは限らず、無症状の方も少なくありません。
症状が現れる場合には、吐き気、腹部の張り、胃が重い、胃のむかつき、悪心・嘔吐、胃痛、上腹部痛、上腹部不快感、胸焼け、食欲不振などがあります。

慢性胃炎の検査方法

慢性胃炎の検査をするには、胃の粘膜の状態を把握しなければなりません。具体的には、胃カメラ検査で直接粘膜の状態を調べます。
早期に胃の粘膜の様子を詳しく調べ、萎縮が起きていないかどうかを確かめる必要があります。

胃カメラ検査について
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慢性胃炎の治療法

ピロリ菌の除菌が、慢性胃炎の治療の基本です。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の除菌治療は薬物療法が基本です。1種類の胃酸の分泌を抑える薬と、2種類の抗生物質を1日2回、1週間続けて服用します。正しく服用すれば、1回目(一時除菌療法)で75-90%程度の確率で除菌が可能です。
一時除菌療法で除菌できなかった場合には、抗生物質の種類を変更し二次除菌療法を行います。慢性胃炎の原因がピロリ菌と確定診断された場合は、2回までの除菌治療は保険が適用されます。
二次除菌療法でも除菌できない場合には、自費にはなりますが三次除菌療法を行うこともできます。

薬物療法

薬物療法を行う場合は、通常は胃酸の分泌を抑えるお薬や胃の粘膜保護の薬を処方します。慢性胃炎は市販薬で改善することもありますが、慢性胃炎ではなく胃がんなどの疾患でも同じ症状が現れる場合があるため、医療機関を受診して検査を行うことをお勧めします。

食事療法

アルコールは避け、トウガラシなどの刺激の強い食品やコーヒーなどのカフェインが多く含まれる飲料、温度差の大きい食品は控えるようにしましょう。

胃潰瘍とは

本来粘膜に保護されているはずの胃壁が、胃酸やペプシンなどの消化酵素により傷つけられてしまい、組織の欠損が起きる現象を胃潰瘍と呼びます。
男性に多い病気とされてきた胃潰瘍ですが、更年期の女性にも多くみられるようになり、若者の発症率も上がってきています。

胃潰瘍の原因

ストレス

胃潰瘍の原因の一つにストレスが挙げられます。精神的なストレスだけでなく、過労や睡眠不足といった肉体的なストレスも要因の一つです。
特にストレスが強くかかると、急性胃腸炎を発症するリスクが高まります。悩みを抱え込みがちな方や几帳面な方、神経質な方はストレスをうまく発散する方法を身に着けることが重要です。

ピロリ菌の感染

胃潰瘍の原因の7割以上が、ピロリ菌の感染によるものだと言われており、長く放置してしまうと慢性胃潰瘍に進行してしまいます。ピロリ菌は薬物治療によって1~2週間程度で完治可能なので、早めに受診してください。

ピロリ菌について
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胃に負担をかける嗜好品

胃に負担が多くかかる刺激の強い食品やコーヒー、温度差の激しい食品の摂り過ぎには注意しましょう。

薬剤の長期使用

お薬の種類にもよりますが、痛み止め薬(非ステロイド系消炎鎮痛薬)などを長期間服用していると胃が荒れてしまって胃潰瘍を患うことがあります。
腰痛・膝痛・関節リウマチなどを患っている場合は、長期間必要以上に服用してしまいがちですが、必ず医師の指示に従って服用するようにしましょう。

喫煙・飲酒

タバコの吸い過ぎは胃の粘膜の血行不良を招きます。
また、アルコールの過剰摂取も胃に負担が大きくなるため、控えめにしましょう。

不摂生・不規則な食生活

食べ過ぎや飲み過ぎ、早食いなどは胃に大きな負担をかけます。
食事は毎日同じ時間に摂り、就寝の3時間前には食べ終わるように心掛けてください。

胃潰瘍の症状

みぞおち辺りの腹痛

胃潰瘍の症状として挙げられるのが腹痛です。みぞおちあたりが痛むことをきっかけに来院され、胃潰瘍が発見されるケースが少なくありません。主に食事中から食後にお腹の痛みがあり、満腹になるとより強く長く痛む傾向があります。
胃潰瘍を患っていても腹痛がない場合もあり、胃潰瘍の進行状態と痛みの強さには関係がありません。突然の激痛で医療機関を受診した時には、かなり重症化しているということも珍しくありません。少しでも違和感があれば、早めに受診することをお勧めします。

酸っぱいげっぷ・胸やけ

胃潰瘍の症状の1つに、胸焼けや酸っぱいげっぷなどがあります。胃酸が過剰になったり、胃液が逆流することで起こります。また、胃潰瘍に限らず、胃の病気になると口が臭うこともあります。

吐き気・嘔吐

胃潰瘍になると胃酸が過剰分泌されます。そのため、嘔吐・吐き気の症状や酸っぱいげっぷ・胸やけの症状などが現れることがあります。

食欲不振、体重減少

胃に異常が生じていると胸焼けや吐き気が生じやすくなり、結果的に食欲が無くなって体重の減少へと繋がります。

吐血・下血

胃潰瘍で吐血や下血が生じるのは、潰瘍ができている箇所の血管が破れてしまうからです。出血には激痛が伴い、動悸・冷や汗・血圧低下などの症状も現れます。胃からの出血は胃酸の影響を受けるため黒褐色になり、下血の場合は黒ずんだタール便になります。下血がある場合は、胃がんや大腸がんの疑いもあるため、大量に黒ずんだタール便が出る場合や血便が出る場合は、お早めに当院までお越しください。

背中の痛み

「少し痛むだけだから」と、背中や腰に痛みがあっても放置してしまいがちな方が多くいます。しかし、膵炎、膵臓がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの疾患が背中や腰の痛みの原因であることも考えられるため、急に痛みが出てきた場合や長引く場合などは、医療機関を受診することをお勧めします。

胃潰瘍の治療

初期の胃潰瘍は薬物療法で治療します。医師の指示に従ってお薬を服用することで、2〜3か月で完治することもあります。ただし、再発の恐れがあるため、自己判断でお薬の服用を中止するのではなく、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
また、ストレスを溜め込んでしまうと、胃潰瘍が完治した後に再発するリスクが高くなります。そのため、うまくストレスを発散する方法を見つけることが重要です。特に適度な休息と睡眠が重要です。
食生活においても、胃に負担の大きい下記の食品は避けるようにしましょう。

  • 脂分の多いもの
  • 香辛料や甘いものなどの嗜好品
  • アルコール

また、タバコを吸う場合も本数に制限を設けるようにしてください。一度胃潰瘍になった方は、禁煙をするようにしてください。

十二指腸潰瘍とは

十二指腸の粘膜が胃酸によって傷つけられ、炎症を起こしてしまう状態が十二指腸潰瘍です。潰瘍が深くなり、「出血性十二指腸潰瘍」となって出血を伴うようになると激しい痛みが出ることがあります。また、吐血や下血もあるため注意が必要です。十二指腸の壁は胃の壁よりも薄いため、さらに進行すると、十二指腸の壁に穴が開いてしまう「十二指腸潰瘍穿孔」になる可能性が高くなります。
十二指腸は潰瘍を患うことによって変形することがあり、再発を繰り返すことで狭くなってしまうと、食べ物の通過障害を起こすこともあります。

十二指腸潰瘍の症状

みぞおちや上腹部の痛み

空腹時や早朝になると、みぞおちや上腹部の痛みが現れます。

背中の痛み

十二指腸は体の背中側に位置するため、背中に痛みを感じたら注意が必要です。

吐き気や嘔吐

十二指腸潰瘍になると吐き気や嘔吐を生じる場合があり、吐き気や嘔吐が無い場合でも不快感を覚えることが多いです。

タール便

潰瘍の一部で出血があると、濁った真っ黒なタール便が出ることがあります。

十二指腸潰瘍の原因

胃や十二指腸は、通常は胃酸が分泌されても傷つかないように粘膜で守られています。しかし、ピロリ菌や薬剤によって胃や十二指腸を保護する粘膜の防御機能が正常に作動しない場合は、胃酸によって粘膜が傷ついてしまいます。それが、十二指腸潰瘍の原因となります。

ピロリ菌について
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十二指腸潰瘍の治療

十二指腸潰瘍の治療には、粘膜を保護する薬や胃酸の分泌を抑える薬が有効です。
ピロリ菌が原因で胃潰瘍になっている場合は、ピロリ菌を除菌治療することによって再発防止が可能です。常用している薬がある場合は、潰瘍になるリスクの少ない薬に変更することも可能ですので、ご相談ください。

ピロリ菌とは?

ピロリ菌とは、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)という、胃粘膜に生息する螺旋形の細菌です。1980年代にオーストラリアのマーシャル博士、ウォレン博士という2人の医師により発見されました(2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞)。
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を使って胃酸を中和し、胃の中で定住できます。世界中では約半数の方が感染しているとも言われており、日本でも加齢とともにピロリ菌を持っている人が増えます。
40歳以上になると約7割の方がピロリ菌に感染すると言われており、患者数は3500万人と言われています。
ただし、ピロリ菌に感染したからと言って症状が出るとは限らず、健診などを利用しなければ気づかない方が多いです。

ピロリ菌に感染する原因

ピロリ菌に感染する要因は大きく分けて2つ存在します。

  1. 幼少期に、井戸水などの非浄水の水で生活していた
  2. 両親などの近親者にピロリ菌感染者がいて、幼少期に離乳食などを食べる際に口移しで食べていた。

ピロリ菌は5〜6歳までに感染することがほとんどで、幼少期に感染しない環境を作ることが重要です。
かつて下水道の整備がされていなかった日本では、40歳以上の方の約7割が感染しています。衛生環境が世界的に改善されていることから、ピロリ菌の感染は日本だけでなく世界的にも減少傾向にあります。食物だけでなく唇の接触による感染もほとんど無いため、成人してからの新規感染は可能性が低いと言えます。

ピロリ菌感染
により起こる症状

ピロリ菌に感染しても自覚症状がない場合がほとんどですが、慢性的に胃に炎症を起こしてしまいます。そのため、ピロリ菌を放置しておくと次第に粘膜が薄くなってしまい、「慢性胃炎」もしくは「萎縮性胃炎」の状態になります。加齢とともに進行して老化現象を起こし、やがて胃酸の分泌が減少することによって消化不良を起こします。また、胃の不快感などの症状も出てくるため注意が必要です。
ピロリ菌の感染を放置しておくと、加齢とともに胃の老化が進み、胃粘膜の炎症が持続することで胃がんの発症リスクが高まります。
ピロリ菌の多くの方は胃痛が現れるため、診療の際にこれまで胃の症状があったかなどを詳しく質問させて頂くことがあります。その他には、嘔吐、腹部膨満感、腹痛、食欲不振などが現れることもあります。

ピロリ菌感染の検査

ピロリ菌の感染は胃がんのリスクを高めますが、その他にも胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、十二指腸炎、鉄欠乏性貧血などといった疾患の原因にもなります。
感染したのが幼少期であれば、自覚症状がほとんど無い方も多くいらっしゃいます。ピロリ菌感染の診断方法は、胃カメラを使用する場合と使用しない場合の2通りがあります。

胃カメラ検査について
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胃カメラを使用する検査

迅速ウレアーゼ試験

内視鏡を用いて、組織の一部を取り出します。ウレアーゼと呼ばれる、ピロリ菌が持っている尿素を分解する酵素の活性を利用して検査を行います。

鏡検法

胃粘膜の組織標本に特殊な染色を行い、ピロリ菌を顕微鏡で直接観察して検査をする方法です。

培養法

採取した胃粘膜を5〜7日ほど培養して判定します。

胃カメラを使用しない検査

血清ピロリ菌抗体検査

菌に感染した方は、体内に「抗体」が作り出されます。ピロリ菌に感染した際にも「抗体」が作られ、この抗体の有無で感染を測定することができます。

尿素呼気試験

容器に向けて息を吹き込み、呼気を調べる方法です。特殊な尿素製剤である試験薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。ピロリ菌の持つウレアーゼにより、胃の中にある尿素が二酸化炭素とアンモニアに分解されます。
尿素の分解により生じた二酸化炭素は速やかに血中に吸収され肺に移行し呼気中に炭酸ガスとして排出されます。
この呼気中の炭酸ガスの濃度により判定する方法です。

便中ピロリ菌抗原法

糞便に含まれるピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。現時点での感染有無が確認できます。身体への負担がほとんどない検査です。

ピロリ菌の検査は1つのみでは偽陰性が出る場合があるため、複数の検査を行ってから確定診断を行います。

ピロリ菌の治療

ピロリ菌は1種類の胃酸を抑える薬と2種類のの抗生物質を含めた3剤を1日2回、1週間服用することによって治療が可能です。放置しておくと胃がんを発症するリスクが高まるため、除菌治療を受けることを強く勧めています。ピロリ菌の薬物治療は、1回目で75~90%の方の除菌が可能で、除菌できなかった場合は2回目を行います。
治療中にはアルコールを控えるようにしてください。内服薬をご自身の判断で中止してしまうと除菌できないだけでなく、ピロリ菌に治療薬の耐性がついてしまう可能性があるため注意が必要です。2回目までは保険診療が可能です。
ピロリ菌を除菌することによって、胃がんの発症リスクを低減することができますので、お気軽にご相談ください。

ピロリ菌に感染すると、胃の
なかはどうなっていくの?

胃の粘膜が萎縮しているどうかは、胃カメラで直接粘膜の観察をすることで診断できます。
ピロリ菌を放置したままでいると慢性的に胃炎が続き、やがて粘膜が萎縮します。さらに進行すると胃粘膜がまるで腸の粘膜のようになってしまう「腸上皮化生」という現象が起き、胃の粘膜がピロリ菌も生息できないほど荒れてしまいます。腸上皮化生になってしまうと血液検査などをしてもピロリ菌陰性という診断が出てしまうことがあります。このような状態になると、慢性胃炎がかなり進行し胃がんの発症リスクが高くなっているため注意が必要です。

ピロリ菌の治療が終わったら、胃カメラは卒業できるの?

ピロリ菌を除菌し終わっても、毎年胃カメラ検査を受けることが推奨されています。ピロリ菌は再発リスクが少なく、除菌が終われば胃がん発症のリスクも低減しますが、非感染者と比べると一定のリスクは残ります。
例えピロリ菌が消えても胃がんの発症リスクがゼロになるわけではないため、定期的な内視鏡検査が重要です。
ピロリ菌の除菌は何歳になっても可能ではありますが、除菌治療を行った際の年齢が高いほど胃粘膜の萎縮が残ってしまうことがあります。胃がんが発症する原因はピロリ菌に感染していることではなく、炎症による萎縮性変化と遺伝子変異の度合いが問題であるため、定期的な内視鏡検査によって胃がんの早期発見をしましょう。

ピロリ菌に感染しないように
予防はできるの?

ピロリ菌の予防方法は判明していません。ただ、口から感染することが確認されているため、親子であっても子供に口移しで食べ物を与えるのは注意が必要です。また、発展途上国などの衛生環境が整っていない場所へ行く際には、水や食べ物に注意を払うようにしてください。衛生的に良くないと感じる水や食べ物は口にしないようにしましょう。

ピロリ菌に
関するよくある質問

健康診断でピロリ菌感染が指摘されましたが、どうすれば良いでしょうか?

ピロリ菌陽性の場合には、胃の状態を確認しなくてはなりません。胃カメラ検査で既に胃炎がどの程度なのか、胃がんはあるのかなどを確認している場合には、ピロリ菌の除菌治療が可能です。ただし、胃カメラ検査を行わずにピロリ菌陽性ということだけが判明している場合は、胃カメラ検査を行う必要があります。胃バリウム検査をすでに行っていた場合でも胃カメラ検査を改めて行うことが推奨されるので、医師にご相談ください。

除菌療法は何かしら副作用がありますか?

除菌療法の副作用は、主なものとしては①肝機能障害、②薬疹(お薬による皮膚アレルギー)③軟便・下痢④内服中のみ味覚に少し変化が起こる、などがあります。副作用が軽度の場合は、お薬を1週間飲み続けるようにしましょう。副作用がつらい場合には、医師にご相談ください。

除菌療法が完了した後は特に異常は起こらないですか?

ピロリ菌の除菌を行った患者様のうち、逆流性食道炎になったと報告される方がいます。ただ、これは一時的なことが多く、薬によって抑えられていた胃酸の分泌が正常に戻ったために発症すると考えられています。逆流性食道炎になったとしても良性の疾患であり、一時的なものであることが多いため胃がん発症のリスクが高いピロリ菌の除菌を優先的に行うことをお勧めしています。

両親にピロリ菌感染の経験があるのですが、感染した時の年齢を確認した方が良いでしょうか?

ご両親のいずれかがピロリ菌に感染していると、お子様も感染している確率が高いですが、小さいお子様に胃カメラ検査は負担が大きいです。また、除菌治療も1週間続けて3剤を服用する必要があるため、18歳以上からのピロリ菌検査・治療をお勧めしています。

血液検査ではピロリ菌陰性と出ましたが、便中ピロリ菌検査・ウレアーゼ迅速検査では陽性と出ました。なぜでしょうか?

患者様のピロリ菌抗体が十分に産生されていない場合、血液の抗体検査を行うとピロリ菌に限らず稀に陰性になることがあります。便中ピロリ菌検査や内視鏡でのウレアーゼ迅速検査は血液検査と違って陽性が出た場合には、感染していると判断できます。

ピロリ菌除菌が成功したのに健診で血清ピロリ菌抗体がまた陽性反応が出ました。なぜでしょうか?

一度ピロリ菌に感染してしまうと、除菌に成功してもしばらくは抗体は残ってしまうため、検査では陽性と出てしまうことがあります。そのため、除菌療法直後に行う抗体検査を除菌の判断基準にすることはできません。

ピロリ菌の除菌が成功した場合、再感染することは無いですか?

一度除菌に成功するとピロリ菌の再感染率はわずか数%程度であり、ほぼ再感染することはありません。ただし、除菌が上手くできない場合でも一時的に菌量が低下してしまっている場合は、検査で陰性となることがあり、菌量が回復した時の再検査では陽性判定が出ます。

ピロリ菌の2回目の除菌治療を受けましたが失敗しました。3回目を受けるとしたら自費診療でしょうか?

ピロリ菌の抗生物質に対する耐性がついている場合に、一次除菌・二次除菌を行っても除菌できない場合があります。その場合は三次除菌が可能ですが、三次除菌からは自費診療となり、20000円かかります。

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