大血管疾患・末梢動脈疾患

大動脈瘤、大動脈解離

大動脈瘤、大動脈解離とは?

全身に血液を流す一番大きな血管・大動脈(木でいうと、一番太い幹)のことを大動脈といいます。大動脈瘤は、大動脈の一部が膨らんでしまい、破裂の危険が生じることが問題です。
大動脈解離は、血管は3層の膜が重なってできていますが、その膜の一部が剥がれてしまうことで、破裂の危険が生じることが問題です。血管は、正常の約1.5倍~2倍(部位にもよります。)に膨らむと、破裂するリスクが高くなります。現在の医療においても、破裂した場合には、100%救命することはできません。
高血圧や喫煙などの生活習慣による原因が多くを閉めますが、中には他の臓器疾患の影響で石灰化しやすかったり、血管内膜が薄くなってしまうような特殊な病態が関与していることもあります。
稀に細菌感染などによる血管炎症が原因で生じる場合もあり、その場合は感染状態によっては急激に悪くなる可能性もありますので、慎重に経過をみる必要があります。

どんな症状が出ますか?

大動脈瘤は、通常は長い時間をかけて大きくなるので、無症状で経過することがほとんどです。よって、大動脈瘤は、健康診断など、偶然見つかることが多いです。
一方、大動脈解離は、血管が裂けるため激痛を感じることがほとんどです。(小さい解離は、無症状やわずかな痛みしか感じないこともあります。)裂けるのは一瞬のできごとですので、裂けるかもしれない血管を前もって見つけることはほぼ不可能です。
小さな解離であれば、偶然とったCTで見つかることもありますが、激痛を伴い命の危険が高いような大きな解離は、ある日突然やってくることがほとんどです。

検査、治療について

いずれもCT検査にてほぼ診断がつきます。
大動脈瘤の治療は、最終的には手術が必要となりますが、大きさや、大きくなるスピードによって、手術をする最適なタイミングを見計らいます。というのは、大血管の手術ですので、一定の確率で術中死や、脳梗塞、脊髄麻痺などの重大な合併症が生じる可能性があるため、闇雲に手術をすればいいというわけにはいかないのです。それでも最近は、ステントグラフトという低侵襲な手術も一般的になりましたので、手術ができる専門の医師と相談して手術する時期を決めることが重要です。
大動脈解離は、部位によって、緊急手術が必要な場合と、内服治療と絶対安静が選択される場合があります。脳に分岐する上行大動脈・弓部では、積極的に手術を行います。一方下行大動脈の場合は、まずは内服や点滴治療で様子を見て、そのまま解離した血管の部分修復されるようなら手術はしません。逆に大きくなってくるようなら手術を行います。

末梢動脈疾患

末梢動脈疾患とは?

末梢動脈とは、大動脈から分岐した血管(木でいうと、枝)のことです。末梢動脈というと大動脈以外全ての動脈ということになりますが、各臓器に入り込む前の動脈の総称だと思ってください。
原因としては動脈硬化によるものが多く、首の血管、足の血管、腎臓の血管に発症することが多いです。しかし一部は、全身の炎症性疾患や、生まれた時から細め、など稀な原因もあります。

どんな症状が出ますか?

狭くなる血管が栄養している臓器に血液が流れにくくなりますので、それが症状として現れます。首は特に脳梗塞のリスクが高くなるので、特に注意が必要です。
腎臓であれば、腎臓や副腎の機能に影響することがあります。足の血管では、歩行時の疼痛、足の倦怠感を自覚するようになります。

検査、治療について

内服治療が基本ですが、明らかに血流量が低下する程に狭くなっている部位は、カテーテル治療(冠動脈治療を参照)や、血管の内膜剥離術を行います。足の血管の場合、完全に詰まってしまった場合は、他から血流も流すバイパス手術を行うこともあります。

冠動脈バイパス手術について
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